テレビアンテナの向き調整ガイド~クリアな映像を取り戻す方法~

目次
テレビの映りが悪くなった経験はありませんか?その原因は多くの場合、アンテナの向きにあります。台風や強風でアンテナの向きがわずかにズレるだけで、受信状態が悪化することも。
本記事では、地デジとBS/CSアンテナそれぞれの正しい向きの確認方法と調整のコツを解説。自分で調整できるケースと専門業者に依頼すべきケースの見分け方も詳しくご紹介します。クリアな映像を取り戻しましょう。
テレビアンテナの向きが重要な理由
テレビを視聴する際、突然画面にノイズが入ったり、「受信できません」というエラーメッセージが表示されたりした経験はないでしょうか?その原因の多くは、テレビアンテナの向きが正しく調整されていないことにあるようです。テレビアンテナは近くの電波塔から電波を受信しているため、強風などで向きがズレると電波がうまく受信できず、テレビが映らなくなってしまいます。特に台風や強風の後には、アンテナの向きがずれてしまうことが少なくないと言えるでしょう。
この記事では、テレビアンテナの正しい向きの確認方法と調整方法について解説いたします。地デジアンテナとBS/CSアンテナそれぞれの特性を理解し、ご自身で調整できるケースと専門業者に依頼すべきケースを見極めるポイントもご紹介します。
テレビアンテナの種類と特性
テレビアンテナには、受信する放送波によって種類や特性が異なり、地上デジタル放送を受信する地デジアンテナと、衛星放送を受信するBS/CSアンテナが主流となってます。それぞれのアンテナの仕組みや形状、電波の受信方法を理解することで、より効果的な設置や調整が可能になるでしょう。
ここでは、各アンテナの特徴と正しい向き方について詳しく解説します。
地デジアンテナの特性
地デジアンテナ(UHFアンテナ)は、地上波デジタル放送を受信するためのアンテナです。地上波デジタル放送は、日本国内に数多く設置された地デジ放送の電波塔から、その周辺エリアに電波を送信することで、日本国内のほとんどの地域を放送エリアとしてカバーしています。このため、地デジアンテナは各地域の電波塔の方向に向ける必要があるのです。
地デジアンテナには、主に以下のような種類があります。
●八木式アンテナ:魚の骨のような形状で、主に屋根の上に設置
●デザインアンテナ:平面型で外観がスマートなため、外壁などに設置されることが多い
●ユニコーンアンテナ:ポール状の地デジ用アンテナ
BS/CSアンテナの特性
BS/CSアンテナは、人工衛星から送られてくる衛星放送を受信するためのアンテナです。方向や角度は地域によって異なりますが、基本的に南西の空(東経110度上空の静止衛星)に向けて設置するのが一般的です。
BSアンテナの角度は仰角(ぎょうかく)と方位角(ほういかく)で表されます。仰角は上下の角度、方位角は左右の角度を意味し、それぞれお住まいの地域に合わせて正確に調整する必要があるのです。
テレビアンテナの向きが変わる原因
アンテナの向きがズレる主な原因には、以下のようなものがあります。
【強風や台風】
最も多い原因です。強風によってアンテナが揺さぶられ、向きが変わってしまうことがあります。特に、勢力の強い台風が直撃した場合は、アンテナが大きく傾いたり、最悪の場合は倒れたりすることも珍しくないです。日本の気象条件を考えると、台風シーズン後にアンテナの点検をすることが望ましいでしょう。
【積雪や雨】
雪の重みや長期間の雨による影響で、アンテナの固定部分が徐々に緩み、向きがずれることも少なくありません。特に雪国では、積雪によりアンテナに大きな負荷がかかるため、春先になったらアンテナの状態を確認することが重要だと言えるでしょう。また、長期間の雨による金属部分の劣化も無視できない要因となっています。
【経年劣化】
アンテナは10年以上使用できる仕様とされていますが、屋外に設置されているため、風雨や雪、海沿いであれば潮風などの自然環境の影響を受けて経年劣化が進みやすい特性があるようです。特にアンテナ本体を固定している金具やボルトは時間の経過とともに腐食することがあり、それによって固定が緩み、アンテナの向きがずれることがあると言われています。設置から5年以上経過している場合は、定期的な点検を行うことで予防措置が取れるでしょう。
【鳥や動物の影響】
意外かもしれませんが、屋根の上に設置されたアンテナには鳥が止まることが多く、その重みや衝撃でアンテナの向きがわずかにずれることがあるようです。また、鳥の糞による金属部分の腐食も長期的に見ればアンテナの寿命に影響する可能性があると考えられています。
アンテナの向きがずれている状態を放置すると、支線(ワイヤー)のネジがゆるんでいる可能性があり、さらなる衝撃や強風でアンテナが落下してしまう危険性もあります。アンテナの重さは約1~5kgあり、落下した場合は車や人に当たる可能性もあるため、早めの対処が重要と言えるでしょう。特に公道や隣家の敷地に面した場所にアンテナが設置されている場合は、他者への被害を防ぐためにも定期的な点検と適切なメンテナンスが必要となります。
地デジアンテナの正しい向きと調整方法
地デジアンテナを適切に調整するためには、まず最寄りの電波塔の位置を正確に把握することが大切です。そのうえで、アンテナの種類に応じた正しい向け方と調整手順を理解することで、クリアな映像受信が可能になります。
高所での作業となる場合も多いため、安全面に配慮しながら、正確に調整する方法を解説します。
電波塔の位置を確認する方法
地デジアンテナを正しく設置するには、まず最寄りの電波塔の位置を知る必要があります。電波塔の位置を確認する方法としては、以下があります。
【アプリを利用する】
専用のスマートフォンアプリ、例えばAndroidでは「テレビアンテナ」、iPhoneでは「アレドコ」などをダウンロードすれば、近隣の地デジ電波塔の位置や方角を確認できます。
【近隣のアンテナを参考にする】
近隣のご家庭に設定されているテレビアンテナの向きと、ご自宅のテレビアンテナの向きを比べる方法です。同じエリアであれば、同じ電波塔から受信しているはずなので、周辺の家々のアンテナがどの方向を向いているか確認してみましょう。
【放送サービス高度化推進協会(A-PAB)のホームページ】
地上デジタルテレビ放送の視聴可能エリアの目安については、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)のホームページで、郵便番号や住所で確認ができます。
アンテナの種類別の正しい向き方
アンテナの種類によって、電波塔に向ける部分が異なります。
【八木式アンテナ】
屋根の上に設置する八木式アンテナの場合は、くの字ではなくまっすぐになっている部分を電波塔に向けましょう。
【デザインアンテナ】
壁などに設置するデザインアンテナや部屋の中に設置する室内アンテナの場合は、正面を電波塔に向けるとよいでしょう。
地デジアンテナの調整手順
地デジアンテナの調整手順は以下のとおりです。
1. テレビの設定画面からアンテナレベル(受信強度)を表示させます。
2. アンテナを少しずつ動かしながら、アンテナレベルが最大になる位置を探します。
3. 最適な位置が見つかったら、アンテナをしっかりと固定します。
テレビアンテナの向きは自分で調整することができますが、高所での作業のため危険を伴ったり、アンテナの向きの確認に専門知識が求められたりするため、容易ではありません。特に、屋根の上に設置されているアンテナの場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
BS/CSアンテナの正しい向きと調整方法
BS/CSアンテナの調整は地デジアンテナよりも繊細な作業が求められます。衛星からの電波を正確に受信するため、方向や角度のわずかなズレが映像品質に大きく影響するためです。
ここでは、BSアンテナの基本的な向き方から、仰角と方位角の具体的な調整方法、そして調整をサポートする便利なツールまで、確実な受信を実現するための手順を解説します。
BSアンテナの方向の基本
BSアンテナを向ける方向は南西方向ですGas-kyutouki。BS放送は、南西の空(午後2時頃の太陽の方向)にある衛星から送られていますSharing-tech。このため、設置場所からその方向に高い建物や樹木などの障害物がないことが重要です。
仰角と方位角の調整
BSアンテナの調整には、仰角(上下の角度)と方位角(左右の角度)の2つのパラメータを正確に合わせる必要があります。
【仰角の調整】
仰角固定ボルトを少し緩め、仰角をアンテナの背面にある「地域別仰角目盛り」を目安に、おおよその角度に合わせます。
【方位角の調整】
アンテナの両側を持って少しずつ動かし、アンテナレベルが一番高くなる位置を探します。
【微調整】
アンテナを左右に動かし、アンテナレベルが最も高いところで固定しますが、アンテナレベルの数値が表示されるまでに5秒ほど時間がかかります。「1度動かす→5秒待機→1度動かす」を繰り返し、アンテナレベルの最高値を見つけましょう。
BSアンテナの角度調整は非常にシビアで、1度でもずれていたら映らない非常にシビアな作業です。そのため、慎重な作業が必要となります。
便利なツールの活用
BSアンテナの設置・調整には、以下のようなツールを活用するとより正確に行えます。
【スマートフォンのコンパスアプリ】
方位角を確認するのに役立ちます。
【BSコンパスなどの専用アプリ】
お住まいの地域に合わせた正確な仰角や方位角を確認できます。
・ Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.nipponantenna.BSCompass&hl=ja
・ iPhone:https://apps.apple.com/jp/app/bs%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9/id527522588
【スカパー!アンテナ方向チェック】
「スカパー!アンテナ方向チェック」のサイトでは、住所を入力するだけで地図上にBSアンテナの向きが矢印で表示され、仰角も教えてくれます。
自分で調整すべきケースと専門業者に依頼すべきケース
テレビアンテナの調整は、状況によって自分で対応できる場合と専門業者に依頼した方が良い場合があります。アンテナの設置場所や損傷の度合い、調整の難易度などによって、最適な対応方法が変わってくるのです。
ここでは、ご自身で安全に調整できるケースと、専門知識や特殊な機材が必要となるため業者に依頼すべきケースについて、具体的な条件や目安を解説します。
自分で調整可能なケース
テレビアンテナの調整は自分で行うことが可能ですが、まずは状態を確認してから判断しましょう。例えば、強風で少し角度が傾いた程度であれば、特別な機材は必要ないため、調整は比較的容易です。
特に、以下のような条件が揃っている場合は、自分での調整が可能です。
●アンテナがベランダや手の届く範囲に設置されている
●安全に作業できる環境が整っている
●必要な道具(レンチなど)を持っている
●2人以上で作業できる(1人がアンテナを動かし、もう1人がテレビ画面でアンテナレベルを確認)
専門業者に依頼すべきケース
以下のような場合は、無理をせず専門業者に依頼することをおすすめします。
【高所に設置されているアンテナ】
屋根の上や外壁に設置されているアンテナの調整は大変危険です。例えば、2階建てのお宅だと、地上から屋根まで高さ約7~9mにもなります。そのため、高所作業はプロに任せる方が安全でしょう。
【アンテナが破損している場合】
テレビアンテナが破損しているのであれば、新品に交換が必要です。そのため、専門業者に依頼しましょう。
【BS/CSアンテナの精密な調整が必要な場合】
BS/CSアンテナは少しでも角度がズレてしまうと、電波が受け取れなくなってしまいます。微調整をしなければならないため、ズレてしまったときには専門業者に依頼するとよいでしょう。
【複数のチャンネルや放送波を受信したい場合】
地方チャンネルなど別々の電波塔からの地デジ電波を受信したい場合などは、アンテナ工事の専門業者に電波調査をご依頼することで、スムーズに設置が可能です。
専門業者に依頼する場合の費用相場
アンテナの調整を専門業者に依頼する場合の費用相場は、作業内容や設置場所によって異なります。例としては、ベランダの柵に付いているアンテナの向き調整(諸経費込み)で15,000円程度。屋根の上での高所作業や、倒れたアンテナの立て直しの場合は20,000円程度が目安となります。
また、業者選びでは以下のポイントに注意しましょう。
●複数の業者から見積もりを取る
●口コミや評判を確認する
●追加費用の有無を確認する
●アフターサービスの内容を確認する
まとめ
テレビアンテナの向き調整は、クリアな映像受信のために欠かせない作業だと言えるでしょう。地デジアンテナは電波塔の方向へ、BS/CSアンテナは南西の衛星へと向ける必要があります。調整作業は安全面を最優先に考え、高所や精密な調整が必要な場合は専門業者への依頼も選択肢の一つとなるでしょう。一方、手の届く場所のアンテナであれば、適切な知識と工具があれば自分での調整も可能です。適切な角度調整と定期的な点検により、安定した映像品質を長く維持できるよう心がけたいものです。